復旧断念した日高本線鵡川〜様似間は4月1日に廃止繰り上げ 2015年から不通

JR北海道は、すでに2021年11月1日(月)付での廃止を届け出ている日高本線の鵡川駅〜様似駅間について、廃止日が2021年4月1日(木)に繰り上がることを発表しました。

廃止が決まった日高本線様似駅の駅名標
廃止が決まった日高本線様似駅の駅名標

鵡川駅〜様似駅間116.0kmは、2015年に北海道を襲った高波により土砂流出が発生して以降、運転を見合わせ、現在もバスによる代替輸送が行われています。被害が大きく復旧には莫大な費用がかかると試算され、鉄道として復旧した場合の費用負担などを沿線自治体と長期にわたり話し合ってきました。復旧を断念し鉄道を廃止することで協議がまとまったため、JR北海道は2020年10月27日(火)、鵡川駅〜様似駅間を2021年11月1日(月)付で廃止することを国土交通大臣に届け出ました。

その後、国土交通省による関係者へのヒアリングが行われ、JR北海道は廃止日を2021年4月1日(木)に繰り上げたい旨を伝えています。後日、国土交通大臣はJR北海道に通知を行い、廃止日を繰り上げても「公衆の利便を阻害するおそれがない」と容認しました。これを受けJR北海道は2021年1月5日(火)、廃止日を2021年4月1日(木)に繰り上げる旨を国土交通大臣に届け出たとのことです。

【路線図で解説】日高本線 鵡川〜様似間が廃止

廃止日以降、日高本線は苫小牧駅〜鵡川駅間30.5kmの短い路線となり、鵡川駅〜様似駅間の代行バスは路線バス等に置き換わることになります。運営主体をどうするかなど、日高地方の交通体系を維持するための具体的な話し合いが今後行われます。

2015年に発生した高波などの被害により損傷を受けた日高本線の線路
2015年に発生した高波などの被害により損傷を受けた日高本線の線路

JR北海道の発足後、災害による不通区間が廃止されるのは初めてのケースです。直近の路線廃止は、2020年5月7日付の札沼線北海道医療大学駅〜新十津川駅間でした。廃止予定日を前にした4月16日、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が全国で発令されました。これを受け、感染拡大防止のためにJR北海道は急きょ4月17日の列車を最終運行とし、その後は全列車運休とする異例の出来事がありました。